桜と共に在る

だいぶ時が経ってしまいましたが、『義経妖狐夢幻桜』を観劇してきました。まだまだ義経の世界に浸っていたい。

1回のみの観劇だったので、セリフの意味を考えたり、場面をかみ砕いたり、というところまでは至っていませんが、いち朝美絢さんのファンとしての感想です。あまり内容はない。


まず、花のみちにポスターがいっぱい貼ってある時点で泣く。かつ、そこに咲く桜がとても綺麗で、この作品に合わせて咲いてくれたかのような錯覚に陥った。神様ありがとう。

朝美絢さんの開演アナウンスにも泣きそうになりながら、幕が開き、少しセリフがあってからパッと照明が明るくなって(そこで思いっきり拍手できて嬉しかった)、そのときの色彩が本当に鮮やかで、印象に残るオープニングだった。

桜の美しさ、彷徨い、ヨシツネの優しさ、シズカは亡くなっていると知ったときの絶望、そして希望、不審な村、見えないヨリトモ、近づいてくるヤスヒラ、ベンケイの想い、ツネの願い。

殺陣は短いながら迫力があって、ヨシツネの物理的な強さがあの殺陣に詰め込まれてたなあと。3人まとめて倒すところは、ナウオンで話していたのはこれか!ととても興奮した(笑)
フィナーレがあるのも嬉しかったーーーーーー。デュエットダンスだけでなく、後半の群舞にもちゃんとセンターでいてくれたのが嬉しかった…!そしてデュエットダンスの振り付けが最高でした…ね。ヨシツネがツネに寄り添う。

朝美絢さんは本当に出ずっぱりで、ずっとセンターにいて。幸せでした。
前回演じていたサン=ジュストとは全く違う、迷い葛藤するヨシツネのお芝居の細かさやセリフの聞きやすさはもちろん、ますます力強さを増した歌の声量が本当にすごくて、バウを越えていくんじゃないかと感じた。
真ん中に立っていることがとても似合っていて、期待しかなくて、そしてそれ以上に応えてくれる。
ラスト、『常なき世界に常なる愛を』と歌い上げる力強さと笑顔が、主演であること、それに応えていること、が詰まっている気がして印象的です。


史実をベースにしつつもカタカナ名、そこにロックや兄弟間の確執、狐、不思議な村など、わりと設定がもりもりという印象だったけれど、わたしはストーリーにも入りやすかった。さまざまな要素がちゃんと活かされていたように思う。個人的にはだけど、ツネとシズカのエピソードだけが、セリフが説明調に感じてあまり入り込めなかったかなあ。
よく考えると気になる点はあるけれど(誰が誰に見えて見えないとか)、余白として楽しめる程度な気もする。朝美絢さんを筆頭に、演者が丁寧に演じてるのが伝わってきたので、10日間で進化するだろうから、もっと見てみたかったな。

ヨリトモファミリーは愉快だったし(ナウオンの影響はあるけど野々花ひまりさんのマサコがとても似合ってた)、ベンケイは最高で、エイサイの胡散臭さが素晴らしくて大拍手だった。
個人的には対ヨリトモの構図より対エイサイの構図の方が印象に残っているので、そこが演出家の意図と合っているのかは少し気になる。
ヨリトモは、敵というよりはヨシツネとお互いのことを尊重しあっているように見えて(大事に思うからこそ、というか)、兄弟が愛しくなった。一騎打ちは熱かった。
真那春人さんのベンケイも本当に本当に素晴らしくて!裏切られ追われ果てを求めて彷徨っている、そんなヨシツネを絶対に裏切らないだろうという安心感がお芝居から伝わってくるのがすごいなあと。ご本人の人柄もあるのかなあ。

雪組に組替えになったからには和物か、と、組替えの発表があってからぼんやりとは思っていて、個人的には、その和物が今回のような和物でよかったなあと思う。

主演なだけで嬉しいのに、真ん中にいる嬉しさや期待をどんどん越えていく2時間半で、本当に素晴らしかった。やっぱり朝美絢さんの丁寧なお芝居が大好き。

わたしが朝美絢さんを好きになってからの浅い日々のなかでも、歌の迫力、力強さがどんどん増していたり、お芝居に磨きがかかっていたり、そういうのが強く伝わってきて、今回は背中で語るような場面もあり、ああ朝美絢さんを好きになってよかったなあって思ってます。初単独主演、本当に本当におめでとうございます。
また真ん中に立っているのを見られるように応援していきたいです。

まだバウに浸っている間に凱旋門の配役が発表され、時が進んでいるのを感じました。
次に会う朝美絢さんがどんな朝美絢さんなのか、また楽しみしかありません!